当座勘定規定ひな型


 以下は、「ひな型」に過ぎず、各銀行でそれぞれ若干の修正を加えています。
 たとえば、2001年当時に三和銀行が同社の「Web契約サービス」のページで公表していた当座勘定規定(一般用)では、署名による取引を拒む方針らしく、「署名」もしくは「署名鑑」の記述をすべて削除しています。なお、11条2項の損害金は年14%が一般的です。

一般当座用

第1条(当座勘定への受入れ) 当座勘定には、現金のほか、手形、小切手、利札、郵便為替証書、配当金領収証その他の証券で直ちに取立のできるもの(以下「証券類」といいます。)も受入れます。

 手形要件、小切手要件の白地はあらかじめ補充してください。当行は白地を補充する義務を負いません。

 証券類のうち裏書等の必要があるものは、その手続を済ませてください。

 証券類の取立のため特に費用を要する場合には、店頭掲示の代金取立手数料に準じてその取立手数料をいただきます。

第2条(証券類の受入れ) 証券類を受入れた場合には、当店で取立て、不渡返還時限の経過後その決済を確認したうえでなければ、支払資金としません。

 当店を支払場所とする証券類を受入れた場合には、当店でその日のうちに決済を確認したうえで、支払資金とします。

第3条(本人振込み) 当行の他の本支店または他の金融機関を通じて当座勘定に振込みがあった場合には、当行で当座勘定元帳へ入金記帳したうえでなければ、支払資金としません。ただし、証券類による振込みについては、その決済の確認もしたうえでなければ、支払資金としません。

第4条(第三者振込み) 第三者が当店で当座勘定に振込みをした場合に、その受入が証券類によるときは、第2条と同様に取扱います。

 第三者が当行の他の本支店または他の金融機関を通じて当座勘定に振込みをした場合には、第3条と同様に取扱います。

第5条(受入証券類の不渡り) 前3条によって証券類による受入れまたは振込みがなされた場合に、その証券類が不渡りとなったときは、直ちにその旨を本人に通知するとともに、その金額を当座勘定元帳から引落し、本人からの請求がありしだいその証券類は受入れた店舗、または振込みを受付けた店舗で返却します。ただし、第4条の場合の不渡証券類は振込みをした第三者に返却するものとし、同条第1項の場合には、本人を通じて返却*することもできます。

 前項の場合には、あらかじめ書面による依頼を受けたものにかぎり、その証券類について権利保全の手続をします。

* 振込資金の資金とされた不渡証券は、振込依頼人に帰属するか振込先(今の場合「本人」)に帰属するかは、しばしば訴訟で争われた。当座勘定規定では、これを前者に決着させるとともに、店内での振込に限り、「本人を通じて返却」というあいまいな解決をしている。これは、第三者が振込依頼書によらず、入金票によって入金した場合との均衡を考えているのだろうか。

第6条(手形、小切手の金額の取扱い) 手形、小切手を受入れまたは支払う場合には、複記のいかんにかかわらず、所定の金額欄記載の金額*によって取扱います。

* 手形法ないし小切手法による金額と異なる金額の証券として扱う趣旨の特約(たとえば金額欄外に「金壱円」と複記したときのことを想像されたい)。なお、「約束手形用法」(手形用紙の表紙裏などに印刷)では、「(金額をアラビア数字で記入するときは)文字による復記はしないでください」とされている。

第7条(手形、小切手の支払) 小切手が支払のために呈示された場合、または手形が呈示期間内に支払のため呈示された場合には、当座勘定から支払います。

 当座勘定の払戻しの場合には、小切手を使用してください。

第8条(手形、小切手用紙) 当行を支払人とする小切手または当店を支払場所とする約束手形を振出す場合には、当行が交付した用紙を使用*してください。

 当店を支払場所とする為替手形を引受ける場合には、預金業務を営む金融機関の交付した手形用紙*であることを確認してください。

 前2項以外の手形または小切手については、当行はその支払をしません。

 手形用紙、小切手用紙の請求があった場合には、必要と認められる枚数を実費で交付します。

* これらに反するときは、「用紙交付先相違」または「約定用紙相違」(第2号不渡事由)で不渡返還される。

第9条(支払の範囲) 呈示された手形、小切手等の金額が当座勘定の支払資金をこえる場合には、当行はその支払義務を負いません。

 手形、小切手の金額の一部支払はしません。

第10条(支払の選択) 同日に数通の手形、小切手等の支払をする場合にその総額が当座勘定の支払資金をこえるときは、そのいずれを支払うかは当行の任意とします。

第11条(過振り) 第9条の第1項にかかわらず、当行の裁量により支払資金をこえて*手形、小切手等の支払をした場合には、当行からの請求がありしだい直ちにその不足金を支払ってください。

 前項の不足金に対する損害金の割合は年 %(年365日の日割計算)とし、当行所定の方法によって計算します。

 第1項により当行が支払をした後に当座勘定に受入れまたは振込まれた資金は、同項の不足金に充当します。

 第1項による不足金、および第2項による損害金の支払がない場合には、当行は諸預り金その他の債務と、その期限のいかんにかかわらず、いつでも差引計算することができます。

 第1項による不足金がある場合には、本人から当座勘定に受入れまたは振込まれている証券類は、その不足金の担保として譲り受けたものとします。

* 預金残高を超えた手形・小切手について、本条により、支払われることがあり得る。巨額の偽造手形などを支払った場合に問題となろう。当座取引先としては、「偽造」等を争う余地のないまま(14条による支払銀行の免責参照)、支払銀行に予想外の債務を負う結果となる。もちろん、実際には、本条による過振りは、当座取引先の意向を確認して行われるはずであるが、慎重な運用を望みたい。

第12条(手数料等の引落し) 当行が受取るべき貸付金利息、割引料、手数料、保証料、立替費用*、その他これに類する債権が生じた場合には、小切手によらず、当座勘定からその金額を引落すことができるものとします。

 当座勘定から各種料金等の自動支払をする場合には、当行所定の手続をしてください。

* 手形貸付金を含む「元金」は除外されている。その回収は小切手によるか、銀行取引約定書の相殺によらなければならない。手形貸付のために差入れた約束手形は、当座勘定で決済されることはない。

第13条(支払保証に代わる取扱い) 小切手の支払保証はしません。ただし、その請求があるときは、当行は自己宛小切手を交付し、その金額を当座勘定から引落します。

第14条(印鑑の届出) 当座勘定の取引に使用する印鑑(または署名鑑)は、当行所定の用紙を用い、あらかじめ当店に届出てください。

 代理人により取引をする場合には、本人からその氏名と印鑑(または署名鑑)を前項と同様に届出てください。

第15条(届出事項の変更) 手形、小切手、約束手形用紙、印章を失った場合、または印章、名称、商号、代表者、代理人、住所、電話番号その他届出事項に変更があった場合には、直ちに書面によって当店に届出てください。

 前項の届出の前に生じた損害については、当行は責任を負いません。

 第1項による届出事項の変更の届出がなかったために、当行からの通知または送付する、書類等が延着しまたは到着しなかった場合には、通常到達すべき時に到達したものとみなします。

第16条(印鑑照合等) 手形、小切手または諸届け書類に使用された印影または署名を、届出の印鑑(または署名鑑)と相当の注意をもって照合し、相違ないものと認めて取扱いましたうえは、その手形、小切手、諸届け書類につき、偽造、変造その他の事故があっても、そのために生じた損害については、当行は責任を負いません。

 手形、小切手として使用された用紙を、相当の注意をもって第8条の交付用紙であると認めて取扱いましたうえは、その用紙につき模造、変造、流用があっても、そのために生じた損害については、前項と同様とします。

 この規定および別に定める手形用法、小切手用法に違反したために生じた損害についても、第1項と同様とします。

第17条(振出日、受取人記載もれの手形、小切手) 手形、小切手を振出しまたは為替手形を引受ける場合には、手形要件、小切手要件をできるかぎり記載してください。もし、小切手もしくは確定日払の手形で振出日の記載のないものまたは手形で受取人の記載のないものが呈示されたときは、その都度連絡することなく支払うことができるものとします。

 前項の取扱いによって生じた損害については、当行は責任を負いません。

第18条(線引小切手の取扱い) 線引小切手が呈示された場合、その裏面に届出印の押なつ(または届出の署名)があるときは、その持参人に支払うことができるものとします。

 前項の取扱いをしたため、小切手法第38条第5項の規定による損害が生じても、当行はその責任を負いません。また、当行が第三者にその損害を賠償した場合には、振出人に求償できるものとします。

第19条(自己取引手形等の取扱い) 手形行為に取締役会の承認、社員総会の認許その他これに類する手続を必要とする場合でも、その承認等の有無について調査を行なうことなく、支払をすることができます。

 前項の取扱いによって生じた損害については、当行は責任を負いません。

第20条(利息) 当座預金には利息をつけません。

第21条(残高の報告) 当座勘定の受払または残高の照会があった場合には、当行所定の方法により報告します。

第22条(譲渡、質入れの禁止) この預金は、譲渡または質入れすることはできません。

第23条(解約) この取引は、当事者の一方の都合でいつでも解約することができます。ただし、当行に対する解約の通知は書面によるものとします。

 当行が解約の通知を届出の住所にあてて発信した場合に、その通知が延着しまたは到達しなかったときは、通常到達すべき時に到達したものとみなします。

 手形交換所の取引停止処分を受けたために、当行が解約する場合には、到達のいかんにかかわらず、その通知を発信した時に解約されたものとします。

第24条(取引終了後の処理) この取引が終了した場合には、その終了前に振出された約束手形、小切手または引受けられた為替手形であっても、当行はその支払義務を負いません。

 前項の場合には、未使用の手形用紙、小切手用紙は直ちに当店へ返却するとともに、当座勘定の決済を完了してください。

第25条(手形交換所規則による取扱い) この取引については、前各条のほか、関係のある手形交換所の規則に従って処理するものとします。

 関係のある手形交換所で災害、事変等のやむをえない事由により緊急措置がとられている場合には、第7条の第1項にかかわらず、呈示期間を経過した手形についても当座勘定から支払うことができるなど、その緊急措置に従って処理するものとします。

 前項の取扱いによって生じた損害については、当行は責任を負いません。

第26条(個人信用情報センターへの登録) 個人取引の場合において、つぎの各号の事由が一つでも生じたときは、その事実を銀行協会の運営する個人信用情報センターに5年間(ただし、下記第3号の事由の場合のみ6カ月間)登録し、同センターの加盟会員ならびに同センターと提携する個人信用情報機関の加盟会員は自己の取引上の判断のため利用できるものとします。


当座勘定規定(個人当座用)との異同
一般当座用個人当座用
1〜6  
7 小切手が支払のために呈示された場合、または手形が呈示期間内に支払のため呈示された場合には、当座勘定から支払います。
 当座勘定の払戻しの場合には、小切手を使用してください。
小切手が支払のために呈示された場合、または手形が呈示期間内に支払のため呈示された場合には、当座勘定から支払います。なお、届出の代理人が自己の名義で振出した小切手、約束手形または引受けた為替手形についても、この当座勘定から支払います。
 小切手または手形の支払の委託を取消す場合には、振出しまたは引受け名義のいかんにかかわらず、本人または代理人のいずれからでも届出ることができるものとします。なお、届出は書面によってください。

 当座勘定の払戻しの場合には、本人または代理人が自己の名義で振出した小切手を使用してください。
8〜13  
14 当座勘定の取引に使用する印鑑(または署名鑑)は、当行所定の用紙を用い、あらかじめ当店に届出てください。
 代理人により取引をする場合には、本人からその氏名と印鑑(または署名鑑)を前項と同様に届出てください。
小切手、手形または諸届け書類は、必ず自署によることとし、その署名鑑は、当行所定の用紙を用い、あらかじめ当店に届出てください。
 代理人により取引をする場合には、本人から代理人の氏名とその自署した署名鑑を前項と同様に届出てください。
15  
16 手形、小切手または諸届け書類に使用された印影または署名を、届出の印鑑(または署名鑑)と相当の注意をもって照合し、相違ないものと認めて取扱いましたうえは、その手形、小切手、諸届け書類につき、偽造、変造その他の事故があっても、そのために生じた損害については、当行は責任を負いません。
 手形、小切手として使用された用紙を、相当の注意をもって第8条の交付用紙であると認めて取扱いましたうえは、その用紙につき模造、変造、流用があっても、そのために生じた損害については、前項と同様とします。
 この規定および別に定める手形用法、小切手用法に違反したために生じた損害についても、第1項と同様とします。
手形、小切手または諸届け書類に使用された署名を、届出の署名鑑と相当の注意をもって照合し、相違ないものと認めて取扱いましたうえは、その手形、小切手、諸届け書類につき、偽造、変造その他の事故があっても、そのために生じた損害については、当行は責任を負いません。
 手形、小切手として使用された用紙を、相当の注意をもって第8条の交付用紙であると認めて取扱いましたうえは、その用紙につき模造、変造、流用があっても、そのために生じた損害については、前項と同様とします。
 この規定および別に定める手形用法、小切手用法に違反したために生じた損害についても、第1項と同様とします。
17  
18 線引小切手が呈示された場合、その裏面に届出印の押なつ(または届出の署名)があるときは、その持参人に支払うことができるものとします。
 前項の取扱いをしたため、小切手法第38条第5項の規定による損害が生じても、当行はその責任を負いません。また、当行が第三者にその損害を賠償した場合には、振出人に求償できるものとします。
線引小切手が呈示された場合、その裏面に振出名義人の署名があるときは、その持参人に支払うことができるものとします。
 前項の取扱いをしたため、小切手法第38条第5項の規定による損害が生じても、当行はその責任を負いません。また、当行が第三者にその損害を賠償した場合には、振出人に求償できるものとします。
19〜22  
23 この取引は、当事者の一方の都合でいつでも解約することができます。ただし、当行に対する解約の通知は書面によるものとします。
 当行が解約の通知を届出の住所にあてて発信した場合に、その通知が延着しまたは到達しなかったときは、通常到達すべき時に到達したものとみなします。
 手形交換所の取引停止処分を受けたために、当行が解約する場合には、到達のいかんにかかわらず、その通知を発信した時に解約されたものとします。
この取引は、本人の都合でいつでも解約することができます。ただし、当行に対する解約の通知は本人の署名した書面によるものとします。
 当行は、長期間にわたりこの当座勘定の受払がない場合、または支払資金預入れの再三にわたる遅延、支払の停止その他相互の信頼関係が失われた場合には、いつでも解約することができます。
 当行が解約の通知を届出の住所にあてて発信した場合に、その通知が延着しまたは到達しなかったときは、通常到達すべき時に到達したものとみなします。
 本人が手形交換所の取引停止処分を受けたために、当行が解約する場合には、到達のいかんにかかわらず、その通知を発信した時に解約されたものとします。
14〜26  

不渡処分の概要

Pacific Engineeringのページ