2019年末の休暇、列車で北京からモスクワまで。K19次国際列車(ロシア国内は、車両の表示で19列車、時刻表で019Ч)は、北京を出発し、第二次世界大戦前、1930年代あたりにメインだった欧亜連絡ルートに重なる経路(瀋陽、長春、ハルビン、満州里、・・と往年の満鉄線、東清鉄道を経由、中露国境を越えてからは、チタでシベリア鉄道本線に合流)を通り、6日ほどでモスクワまで走破する(筆者が利用したのは2019.12.28北京発、2020.1.3モスクワ着の便)。
北京出発時には、ロシア車両が5両(寝台車)プラス中国車両2両(寝台車、食堂車各1両)を中国車両の機関車がけん引する編成。ロシア車両の乗客は非常に少ない。4人用コンパートメントに筆者ら2人。同じ車両にはほかに数人。それも、満州里とチタで下車。同じ車両には筆者ら2人だけ(ほかに車掌が数人)という貸切り状態。シャワー室も使えるので快適。
満州里駅(中露国境の中国側)で中国出国手続き(列車内で)と中国車両の切り離し。ザバイカリスク駅(国境のロシア側)でロシア入国手続きと台車の交換(中露でゲージが異なる・・機関車はここからロシア車両)。チタで、ウラジオストックからの列車(ウラジオストック-モスクワ間の1列車、駅アナウンスでは、"скорый поезд номер один"・・直訳すると急行列車1番?、時刻表で001М)と連結されて、長い編成に。食堂車もロシア車両に・・。
アジアとヨーロッパを結ぶ長大な鉄道路線。長距離の旅客輸送の手段としては、航空機に押されているはず。しかし、貨物輸送の手段としては、アジア・ヨーロッパを数日間で結ぶことができるので(スエズ運河経由の船を利用するよりずっと早い)、近年ますます重要性が増している。実際にも、筆者らの列車は、数分おきに貨物列車と行き違っていたし、線路脇の待避線にたくさんの貨物列車が退避しているのを見ることができた。旅客より貨物に偏重した路線という印象である。
余談だが、韓国の文在寅政権が、北朝鮮との融和に熱心な理由がよくわかる。もし、鉄道・道路、そして石油パイプラインを、北朝鮮を通過させることができれば、中露だけでなくヨーロッパまで、陸路でつながるようになるので、韓国の産業界にとって、非常に有利に。これは、北朝鮮との親密な関係自体を目的とするものでないので、産経新聞などの右翼媒体が煽るような文在寅の左傾化ではなく、むしろ戦前の天皇制日本が、大陸進出を唱えたのと同種、あるいは、最近になって、中国が一帯一路を提唱しているのと同種の発想。それだけに、関係国の利害も複雑で、韓国財界の思うようになるかは分からないが。
頻繁にタイムゾーンが変わるが、写真に刻印されている時刻は、日本時間(UTC+9)で表示されている(モスクワ時間はUTC+3で6時間の差)。